縁を切る?相続廃除
板村です。
法律ウオッチ!で,相続廃除を取りあげました。
遺留分のある推定相続人が,被相続人に対して虐待や重大な侮辱などをした場合,
被相続人は家庭裁判所に廃除を請求することができます(民892条)。
よくご相談に出てくる「縁を切る」は,法的には廃除が最も近いと思います。
廃除が認められると遺留分すら剥奪されますので,裁判所では慎重に判断されます。
今回取りあげた裁判例は,両親が娘を廃除請求した事案ですが,第一審は
廃除を認めませんでした。
子どもの頃からの非行歴は家庭環境にも問題があるし,親の意に沿わない結婚も
特段の事情のない限り重大な侮辱等には当たらないとの理由からでした。
第一審の審判後,娘は結婚披露宴の招待状に招待者として父の名前を入れ,
両親の知人等に配りました(両親は結婚に反対)。
抗告審では,その事情も含めて判断され,廃除が認められました。
なお,廃除の意思表示は遺言でもできますが,その場合は遺言執行者が家庭裁判所に
廃除の請求をすることになります(民893条)。
ハードルは高いですが,頭の隅に入れておきたい制度です。