公正証書遺言の作成のポイント

公正証書遺言は,遺言者が,公証人の面前で,遺言の内容を口授し,それに基づいて,公証人が文章にまとめ,公正証書遺言として作成するものです。

公証人の多くは,裁判官,検察官等の法律実務に携わってきており,正確な法律知識と豊富な経験を有しています。したがって,複雑な内容であっても,法律的に見てきちんと整理した内容の遺言にしてくれます。

何より,方式の不備で遺言が無効になるおそれがない点で,自筆証書遺言と比べて,安全確実な遺言方法であるといえます。

また,公正証書遺言は,家庭裁判所で検認の手続を経る必要がないので,相続開始後,速やかに遺言の内容を実現することができます。

さらに,原本が必ず公証役場に保管されますので,遺言書が破棄されたり,隠匿や改ざんをされたりする心配も全くありません。

自筆証書遺言の場合,全文自分で自書しなければなりません。

判断能力が低下したり体力が弱ってきたりして自書が困難となった場合には,自筆証書遺言をすることはできません。

他方,公証人に依頼すれば,このような場合でも遺言をすることができます。署名することさえできなくなった場合でも,公証人が遺言者の署名を代書できることが法律で認められています。

遺言者が高齢で体力が弱り,あるいは病気等のため,公証役場に出向くことが困難な場合には,公証人が,遺言者の自宅又は病院等へ出張して遺言書を作成することもできます。

ただし,公正証書遺言は,自筆証書遺言と比較すると費用のかかることが数少ないデメリットと言えるでしょう。

なお,公正証書遺言をするためには,遺言者の真意を確保するため,証人2人の立会いが義務づけられていますが,適当な証人が見当たらない場合には,公証役場で紹介してもらうことができます

以上のとおり遺言書を残すのであれば公正証書遺言がお薦めであり,下記のようなご要望にも対応できます。

  • 法定相続人以外を遺産相続人にしたい
  • 妻に生前贈与で家をのこしたが,遺留分減殺請求をしないでほしい
  • 大阪に住む三男には遺産相続をしないでほしい

遺言は,民法の定める法定相続の原則的ルールを修正できる手段であり,上記のような要望についても全部ではありませんが叶えることができます。

死後,親類縁者の間に禍根を残さず遺産相続を行うのであれば,公正証書遺言を残しましょう。

公正証書遺言を残す場合でも,お客様のご要望を形にするためにどの様な内容の遺言にすべきか,相続全体の見通しのもと判断する必要があります。そのため弁護士にご相談されることをお勧めします。

公証役場での遺言書作成の前にご相談をしたいという場合にも,お気軽にお問い合わせください。